Eyelid disease / Lacrimal duct disease 眼瞼・涙道疾患

眼瞼・涙道疾患

眼瞼下垂

眼瞼下垂とは、まぶたが下がってきて見にくくなる病気です。人からは眠そうな顔にみえたりします。眼精疲労(目が疲れる)や肩こり、頭痛などが起きることもあります。

老人性が多いが、点眼薬の常用や目の手術後に起きることも

加齢とともに目を開ける筋肉が弱ってきて生じることが多いです(加齢性眼瞼下垂)。
“コンタクトレンズを長年つけていた方”、“緑内障の点眼(特にプロスタグランディン点眼)を長く使っている方”、“白内障など目を開ける器具を使って手術を行った方”にも起こりやすいです。

眼瞼下垂の治療は手術

眼瞼下垂は点眼薬で治すことはできません。治療は手術になります。目を挙げる筋肉(上眼瞼挙筋腱膜やミュラー筋)を短縮してまぶたを挙げます。

術前

術前

術後6か月

術後6か月

患者さんの
年齢
70歳代 女性
症状 物がみにくい
まぶたが重ったるい
目が小さくなった(上まぶたが黒目にかぶってきた)
二重の幅が広くなってきた
三重になってきた
おでこのシワが深くなってきた
眉毛の位置が高くなってきた
眉毛とまつげの間が、くぼんできた
頭痛や肩こりがひどくなってきた
治療内容 まぶたを上に挙げるための筋肉を短くして瞼板に固定します
皮膚が余っている場合には、眉毛の下や、まつげの上で切除します
費用 3割負担の方:両眼で約45,000円
1割負担の方:両眼で約15,000円
治療期間・
回数
手術後は、消毒、術後約2週(抜糸)、術後約1か月(検診)、約3か月(検診)の通院が望ましいです
デメリット・
リスク
腫脹・内出血:手術後2週間は腫脹が目立ち、その後消退していきますが、術後3か月までは継続する場合があります。
痛み:手術中は、一番最初の麻酔の痛みがあります。また筋肉の近くを操作する際に痛みが出現することがあります。
再発:術後、再度まぶたが下がってくることがあります。その場合には再手術が可能です。
眉毛下垂:術後、もともと挙上していた眉毛がさがってくることがあります。それにより上まぶたの皮膚が垂れてくることがあります。その場合には、後日皮膚切除をすることが可能です。
左右差:術直後は同じ目の大きさで終了しますが、経過とともに左右の目の大きさや、二重の幅、形が変化することで左右対称にならなくなることがあります。
予定外重瞼線:切開した部位が二重のラインになりますが、その更に上にラインがでることがあります。

※他院からご紹介の患者さまは、手術後に状態が落ち着きましたら紹介元の病院にお戻りいただきます。
※まぶたの機能回復を目的とした保険適用の手術です。美容を目的とする自費の手術ではありません。

逆さまつげ(睫毛内反症、眼瞼内反症)

本来、まつ毛は外向きに生えていますが、何らかの原因で内向きに生えているものを逆さまつげといいます。大きく分けて、睫毛内反症と眼瞼内反症があります。
睫毛内反症は、上または下のまぶたに生えているまつ毛が内側に向かって生えることにより、角膜にあたって、角膜に傷をつくってしまう病気です。
眼瞼内反症とは、下まぶたに多い病気で、下まぶたが丸まって(内反して)目にあたることにより、下まぶたに生えているまつ毛が角膜にあたり、角膜にたくさんの傷がついてしまう病気です。
重症の場合には角膜びらんになり、強い眼痛を生じて、視力が大きく低下してしまうこともあります。また、細菌感染の温床にもなりますので、重篤な角膜感染症を引き起こすことがあります。

治療は定期的な抜去、ひどい場合は手術
睫毛内反症のみでしたら、眼科でまつ毛を抜いてもらいます。放置すると角膜傷害がひどくなりますので、月に1回程度は眼科で抜いてもらう必要があります。睫毛がたくさん生えて(睫毛乱生症)角膜に当たっている重症の場合は手術治療を行います。
下眼瞼内反症の場合は、程度にもよりますが、手術をして、内側に丸まったまぶたを外側に向かせるようにします。
手術は、最初は糸で下眼瞼を反転させて縫い付ける方法(下眼瞼通糸埋没法)で行いますが、再発する場合や重症の場合は、下眼瞼を牽引している筋肉を短縮する手術(Jones法)を行います。

術前(正面視)

術前(正面視)

下まぶたが丸まって、まつ毛が内側に取り込まれて見えない。

術後6か月(正面視)

術後6か月(正面視)

下まぶたの丸まりが解消して、まつ毛が外側に向いて見える。

術前(斜位)

術前(斜位)

下まぶたが丸まって、まつ毛が内側に取り込まれて見えない。

術後6か月(斜位)

術後6か月(斜位)

下まぶたの丸まりが解消して、まつ毛が外側に向いて見える。

術前(側位)

術前(側位)

術後6か月(側位)

術後6か月(側位)

患者さんの
年齢
70歳代 女性
症状 なみだがこぼれやすい
目がゴロゴロする
目が充血している
目が痛い
まぶしい
治療内容 まぶたが眼球側に傾いてしまっているので、筋肉を瞼板に固定します。
固定することで、まぶたを外側にむけることができます。
皮膚が余っている場合には、少量切除を行います。
費用 3割負担の方:片眼で約12,000円
1割負担の方:片眼で約4,000円
治療期間・
回数
手術後は、消毒、術後約2週(抜糸)、術後約1か月(検診)、約3か月(検診)の通院が望ましいです
デメリット・
リスク
腫脹・内出血:手術後2週間は腫脹が目立ち、その後消退していきますが、術後3か月までは継続する場合があります
痛み:手術中は、一番最初の麻酔の痛みがあります。また筋肉の近くを操作する際に痛みが出現することがあります。
再発:術後、再度まぶたが眼球側に傾くことがあります。その場合には再手術が可能です。
傷跡:切開した部位が傷跡になりますが、1か月程度で目立たなくなります。
外反:術後に一時的に下まぶたが、眼球側から離れ赤い結膜が露出することがあります。
ほとんどが自然経過でなおりますが、万が一治らない場合には再手術が可能です。

※他院からご紹介の患者さまは、手術後に状態が落ち着きましたら紹介元の病院にお戻りいただきます。
※まぶたの機能回復を目的とした保険適用の手術です。美容を目的とする自費の手術ではありません。

当院では、横浜市大市民総合医療センターの形成外科部長の小久保 健一先生が眼瞼下垂や眼瞼内反症の手術を行っております。眼瞼下垂が気になる方は、お気軽にご相談ください。
他院から紹介頂いた患者様は、手術後、落ち着きましたら、紹介元の先生にお戻り頂きます。
(まぶたの機能回復のための保険の手術で、美容目的ための自費の手術ではありません。)

ものもらい

目のまわりのできもの(腫れや腫瘤)のほとんどは、“ものもらい”といいますが、眼科的には、麦粒腫と霰粒腫に分けられます。

麦粒腫
赤く腫れて、痛みやかゆみを感じる
まぶたの内側やまつげの毛根に細菌が感染して生じます。まぶたが腫れて赤みが強くなり、痛みやかゆみを感じます。人の皮膚などに常に存在する菌(常在菌)ですので、うつることはありません。たいがいは抗菌の点眼薬や軟膏で治りますが、症状が進んだ(化膿がひどい)場合には切開手術をして膿を出します。

麦粒腫
麦粒腫

霰粒腫
白っぽい色で大きく盛り上がる。異物感はあるが、痛みやかゆみはない
まぶたの内側にある脂肪の分泌腺(マイボーム腺)の出口がつまって、まぶたに脂質の塊のようなしこり(肉芽腫)ができる病気です。
霰粒腫は、多くの場合に赤み(発赤)はなく白っぽい色です。大きく盛り上がって、異物感を感じますが、痛みやかゆみを感じることもないです。
ただし、霰粒腫に細菌感染を起こすことがあり(急性霰粒腫)、その場合はまぶたが赤くなり、痛みやかゆみを伴うなど、麦粒腫と区別は困難です。
麦粒腫と同様に抗菌点眼薬と軟膏で治療をしますが、しこりが残る場合は、手術をして切除します。

霰粒腫
霰粒腫

当院では、目のまわりの病気に関して、手術治療も行っております。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

なみだ目(流涙症)

何でもないときに目が潤んで涙がたまったり、目尻や目頭から涙があふれたりする状態をなみだ目(流涙症)といいます。

分泌性流涙
目の病気で起きるなみだ目

何らかの刺激や目の病気で涙が過剰に作られて、なみだ目になることがあります。
結膜炎、角膜炎、ぶどう膜炎、ドライアイ、花粉症、アレルギーなどで生じますので、それらの目の病気に対する点眼薬で治療します。

導涙性流涙
涙の流出口がつまって起きるなみだ目

涙はまぶたの耳側にある涙腺でつくられ、そこから鼻側にある鼻涙管という管を通って鼻の中に流れていきます。年齢とともに、涙の流れ出ていく通り道(鼻涙管)が細くなったり、つまったりして(鼻涙管狭窄症、鼻涙管閉塞症)、このタイプの流涙症が起きます。
また、目の表面の結膜(白目)がたるんで皺になること(結膜弛緩症)でも、涙の流れが悪くなり生じます。
このような原因で起こる流涙症は、症状に応じて手術治療(涙管チューブ挿入術、結膜弛緩症手術)が必要になります。

導涙性流涙:涙の流出口がつまって起きるなみだ目

当院では、鼻涙管閉塞症に関して、手術治療も行っております。流涙症でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
他院から紹介頂いた患者様は、手術後、落ち着きましたら、紹介元の先生にお戻り頂きます。

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